零度の華 Ⅰ




『今ここで殺り合うのは得策とは言えないぞ。俺が誰なのか、お前は薄々気づいているはずだ。安心しろ近々会える、その時にでも殺り合おう』


振り返り死神(グリム・リーパー)に微笑んで見せ横を通り過ぎようとすると、蟀谷に銃口が向けられる


「殺し屋が殺し屋の言葉を信じて待つとでも思っているのですか?」


『無理な話だな。でも、今の俺はお前とやる気はないんだ。待ってくれないかな?』



あたしと死神(グリム・リーパー)の間に沈黙が流れる

このままでは埒が明かないと思ったあたしは気づかれないように、そっと短刀に手をかけたその時、蟀谷に向けられた銃が下ろされた



「貴方の言葉を信じてみましょう」


『助かる』



あたしは短刀から手は離し、死神(グリム・リーパー)の横を通り過ぎて闇夜と消えた





翌日、あたしは雲雀に呼び出されると怒られた

勝手に行動しSQUELETTE(スクレット)のメンバーを殺したため

ただそれだけのことで、あたしはSQUELETTE(スクレット)殺しの担当を外されたのだ



『ふざけるな。SQUELETTE(スクレット)はあたしの獲物だぞ』


「俺は一言も"お前に任せる"とは言ってない。今回の組織殺しは鯱(オーカ)にやってもらう」




あたしの代わりに鯱(オーカ)だと?



「お前の仕事はこっちだ。分かったなら戻れ」





あたしに見向きすらせず、机に広がる資料に目を通していく雲雀



短刀を鞘から抜き、切先を雲雀の眉間に向けた


下げていた顔が上がり目が合う