零度の華 Ⅰ




あたしの言葉を聞いて天使(エンジェル)がどう思っているかは分からない



恐怖を抱いているようには見えないし、ましてや共感するわけでもない



数秒でさえ長く感じるその沈黙を破ったのは、あたしだった




『俺は帰る。さっきのこと警察に教えるか教えないかはお前に任せる』



バレたところで捜査が進むわけじゃない


人間の中に殺人鬼が紛れていたって、誰も見つけ出すことはできない


. . . . .
人間らしくしていれば気づかれることはない





天使(エンジェル)に背を向けて、明るく街を照らす前の空の中を歩く



家に帰ってくると鍵が開いていた


中に入れるのは勿論、雲雀だけ



奥に進み、リビングに入るとソファーに座っている雲雀がいた




「どこに行っていたんだ」


『隣街』


行きは適当に歩いて気にしてなかったが、帰りに周りを見るとどうやら隣街まで行っていたらしい