零度の華 Ⅰ




階段を降り、光華との距離を縮めた


『勝負の続き、する?』


笑みを浮かべながら言う



「その必要はない。コイツ等も分かったはずだ」


『そう』



あたしは歩みを進めた


「おい、どこに行く」


鮫島に呼び止められ振り返り、一言残す



『帰る』


あたしが帰ることに誰も引き止めはしない

あたしはそれから振り返ることなく真っ直ぐ歩き、光華の倉庫を後にした



その後、カバンから黒いパーカーを出して制服の上から着る

途中、公園のトイレに入りジャージに着替えた




あたしは格好を一変させ、街を歩く

フードを被っているため、当然、変な目で見られる


気にも止めず、ただ歩き続き辿り着いた場所は人目にはつきにくいBARだ



中に入るとともにチリンと鐘が鳴り響く


シックな内装に似ても似つかわない男達が数人いる



顔は厳つく、黒のスーツに身を包む姿を見れば、誰もが組の者と一目でわかるだろう