「ありがとうございます。まず、自殺だとしたらもっと綺麗な死に方をすると思うんです。特に、若い女性の方の自殺で転落死を選ぶ事自体あまりありません。それは女性の心理からなるものなんです。」
女性の心理?
どういった心理なんだ?

「女性というのは死んだ後のことも考えるケースが多いんです。自殺にしろ他殺にしろ遺体を見るのは救急車の人か刑事です。そのどちらも女性が職についている確率はとても低いです。若い女性の方で汚い自分の姿をを人に見せることはとても抵抗があると思います。このことは心理学でも既に証明されています。」
そうなのか?初めて知った。
でも、確かに女性の人は気にするのかもしれない。!と心の中で納得した。

「ここで、一つの疑問が生まれます。なぜ、転落死を選んだのか。さっきも言った通り、とても外見を気にします。いくら自殺するといっても似合いもしない服をどうして着るのかということです。別にいくら高いブランドの服を来ていても年代層にあっていて彼女が好きな感じであれば納得はしますが、彼女の家に似たような雰囲気の服はなかったです。」
こいつもう調べたのか。確かに課長が言っていた通り仕事はできるのかもしれない。現に論理的考えを基盤にして今回の事件のことを客観的に見ている。

「それがもう一つの疑問だと。川本はそう考えているんだな。」
俺の言葉を聞いて頷く。

「はい。明日は、彼女の大学の関係者に話を聞こうと思っています。」

「わかった。じゃぁ、署に戻るか?」

「いえ、私はもう家にいるのでこのまま帰るってことで。お疲れ様でした。」
っは?いや、まだ1時なんだけど。
何言ってんのこいつって顔で川本を見ると、課長には連絡してOKを既にもらっているということだった。
いくら、実験代とはいえこんなに仕事をしないでいいのかと疑問に思う。
しかし、課長が了解しているならしょうがない。俺はそのまま署に戻ることにした。