『なあ、』






突然呼び止められて振り返ると




きみ。





「なに?」








少しだけほんの少しだけ




胸が高鳴る。










『.........これ、やるよ!』






そういって私に向かってなにか投げてきた。












キャッチしてみると














チロルチョコ。


















「え?なんで笑」


そんなこと言いながらも


私の口角は無意識にも上がる











『....ホワイトデー?』











なぜか疑問形で答えた君。














そんな君がおもしろくて




クスッと笑う。


















『なんだよ笑』








「なんでもない」

クスクス笑いながら答える私



















『まあ、感謝しろよな』

























「ありがと。



でもまあ、期待なんてしてなかったから〜〜」









本心を誤魔化すような逆の言葉













『素直じゃねえな本当に』











....図星












「うるさいなあ」






『どっちがだよ』













お互い笑ってから





ほんの少し流れる沈黙

微妙な距離。








『.........んじゃあ、俺行くわ』






「あ、うん。

んじゃあね!」















君が私の横を通り過ぎる