いっちゃんは

どんな気持ちで

こういうことかできるのだろう。




「さきっちゃ、ん。」




乱れたいっちゃんの声。


わたしじゃないひとの

名前を呼ぶいっちゃんの声。




耳をいくら塞いでも

聞こえてしまった。





なのにわたしが好きだという

いっちゃん。






わたしはいっちゃんが好きで

いっちゃん以外はいらなかった。



いっちゃんのためなら

バケツの水で

びしょ濡れになるのだって耐えられた。







なのに……。






わたしはいっちゃんが好きで

とっても大事だったけど




いっちゃんは

わたしが好きなだけなんだと

大事ではないんだと


いまさらになって、気づいてしまった…。






びしょ濡れで廊下に座り込むわたしは


これ以上ないくらい


惨めだ……。