-7年前-
「はぁ…暑い」
この暑い中、病院にいるのと思うと憂鬱の気分になる。
私の母は病院で看護師をしており、今回はその忘れ物を届けに久しぶりに来ていた。
小さい時は母によく連れて来られていたこの病院も、成長するにつれてここに来なくなっていた。
母の忘れ物を届けた後、久しぶりに私は中庭へ向かっていた。
小さいときはよくこの中庭で遊んでいて、あまり人もいなくて私は、この場所が好きだった。
「懐かしい…」
そう独り言を呟いたとき不意に聞き慣れない低めの声が背後から聞こえた。
「なぁ」
え?誰?
1人だと思って返事があるとは思わなかった私はびっくりして振り返る。