「あ、じゃあついでに俺も聞きたい。有果はあのときどうして俺を選んだのか」

「……ええと、そうだな、」



わたしたちの間には、よくわからないことがたくさんある。

目には見えない小さな力が、知らないうちにいくつもいくつもはたらいていたんだろう。
これを運命だと呼べるなら、聞こえはいいけれど。


理屈では説明できない、よくわからないもの。惹かれ合うって案外そういうものなのかもしれないし、

そこに変な格好つけなんて、必要ないのかもしれない。



あのとき確かに、わたしはきみが欲しかった。きみだけが、よかった。

あの気持ちを一言で言い表すのは難しい。でもきっと実は、想像してるよりずっと単純なこと。


……うまく言えるようになるまで、そばにいてね、大地。


わたしは彼の頭ををぎゅっと抱き寄せながら、その耳元に口を寄せた。











END