*港side*
大きな物音で目が覚めた。
仕事に向かう2時間前。
隣に寝ているはずの陽の姿が見当たらず、慌てて寝室を飛び出す。
「はるー?」
陽の身に何かが起こることが一番怖い今の時期。
姿が見えず、内心焦る。
リビングを見て回り、見当たらないことを確認して洗面所へ。
「あぁ、いた…」
トイレの中で吐き戻す陽の姿を見つけた。
慌ててトイレに入ったのだろう。
扉も開けっ放しだった。
「大丈夫?」
頷くが顔色は悪く、宙を彷徨う手のひらがトイレの手すりを捉えた。
バランスを崩しそうになった体を支え、背中を擦る。
「起こしてごめんね…」
自分がこんな状況であっても、他人のことばかり考えるのだ。
「いいから…」