*愛香side*
薬を飲んでしばらく、奏太が背中をさすってくれた。
座っていたら気分は大分よくなって、目眩も治まった。
「奏太ごめん」
「いいよ、気にしなくて」
「もう、大丈夫だから」
せっかくのこんな日も、私のせいで最悪だ。
「帰ろうか」
奏太の手に引かれて、立ち上がる。
「台無しにしてごめんね…」
「何が?…気にすんなよ」
腰に手を回され、軽く引き寄せられる。
奏太のそんな優しいところが好き。
奏太のスーツ姿が好き。
カッコイイ。
素直にそう思う。
「奏太、…手」
「…あぁ」
奏太と手を繋ぐのが好き。
軽くでも、ギュッと握られるのが嬉しい。
「近いうちにまた来よう」
次の"その日"が待ち遠しい。
*おわり*