*港side*
日曜日の夜。
呼び出しがかかって陽との予定をドタキャンしてしまった今日は、せめてと近所の喫茶店に来た。
陽はドタキャンしてしまったことを、『いつものこと』だと笑って許してくれる。
そんな関係は居心地がいい。
「ねー?」
メニューを眺めながら、陽が言いづらそうに呟く。
「…食べちゃだめ?」
陽が指をさして聞いてきた。
"いちごショートケーキ"
「…ケーキ。」
「食べたいの?」
「食べたいの…」
さっきからメニューを気にしていたのはそのせいか。
ケーキひとつを控えめにおねだりする陽が、愛しくてたまらない。
「いいよ」
「…いいの?」
嬉しそうな笑顔。
ふわふわの笑顔。
…あー、可愛い。