気がつけば時計は20時半。
あれから何時間も、私はここで何をしているんだろうか。
ここ最近の港なら帰宅しているはずの時間も、とっくに過ぎている。
港が忙しいことなんて、ずっと前からわかってた。
今までだってそうだった。
忙しいこと、早く帰れないことは、私が一番わかってあげなきゃいけない。
だってお仕事なんだから。
港はいつも帰宅すれば、私の体を一番に心配してくれる。
常に気にかけてくれているし、どんなに忙しくても"好きだよ"って伝えてくれる。
それが私は嬉しくて、ちょっとキツくても頑張ろうって。
わかっているつもりなのに、こんな感情が出てくるのはどうして?
秒針の音が煩い。
ご飯なんて作りたくない。
何も食べたくない。食べなくていい。
もう頑張るのはやめたい。
時計の針が流れるように進んでいく。
港が遅い。
…遅い。
……遅い。