……♪
聞きなれた通知音。
脳が指示を出す前に、手が勝手に枕元に伸びる。
携帯電話を手にしてようやく、脳が起きた気がした。
目覚ましよりも体が反応する着信音。
ぼんやりする意識の中でも、通話ボタンを押す。
「もしもし」
時計を確認する暇もなく電話に出たが、外はまだ暗い。
当直である看護師からの電話。
内容は至って簡単なものだった。
「わかった…あぁ、いいよ。15分もかからないから」
看護師との電話を切ると、また陽を起こすことのないよう静かに寝室を出て行く。
時計は3時40分。
1時間も眠れたらいい方だろうか。