いざ聞かれるとわからない。
「なんでもいいよ」
港はそう言うが、思い当たるものがない。
「じゃあ、いっぱい"好き"って言ってほしい」
「…それ、プレゼント?」
「そう」
「…はは」
髪を撫でていた手が肩に回され、ぎゅっと引き寄せられる。
「そんなもの今でもあげられるよ」
「だってそれ以上欲しい物ないよ」
「本当かよ…」
港は少し呆れたように笑うけど、私は結構本気だ。
「どこかに行ってもいいんだよ?」
「んー、別にいい」
「港とケーキ食べられたら、それでいい」
「…。陽」
小さくため息をついた港に頭を固定され、じっと目を見つめられる。
「当日までに考えといて」
「…わかった」
頷けばそのまま胸に寄せられ、ぎゅっと強く抱きしめられる。