*千春side*
何年か前に付き合っていた彼女は、デートの日に呼び出しが掛かりドタキャンしたことが原因で俺の元を去った。
夢の国へ行く前夜に緊急オペ。
夜中の呼び出し。早朝からの出勤。
休みのない週末。
ようやくできた休日は、書斎でひたすら勉強。
そんなことが重なり、彼女には
"疲れる"などと言われてフラれた。
挙句の果てに、乳腺外科医であることを
"今思えばただの変態"と言い、彼女とは音信不通になった。
彼女の判断は正しいのかもしれない。
デートさえろくにできない男と付き合う需要など、どこにもないのかもしれない。
看護師が夢の国のお土産を周りに配布しているのを見て、そんなことを思い出した。