リビングには目の赤い陽が毛布に包まれて座っていた。
蒼は陽の姿を見つけると、納得したように微笑んでくれた。
「なるほどね」
「季蛍さんが朝から見ててくれたんだ。だから」
季蛍さんが拒んだ紙袋を蒼に渡す。
「いいの?」
「ていうか、渡すために店寄ったんだから」
「ありがとう」
「お礼を言うのはこっちだよ…」
「あ!なんでもらってるの!?」
気がついた季蛍さんが蒼を問い詰め、紙袋を指さす。
「いや、受け取ってほしいって」
「毎回もらってばかりでお返ししてないんだからね」
「いいよそんなの」
「でも…」
「マフィン、好きでしょ?」
「……」
躊躇っていた季蛍さんも、少し笑って頷いた。
「はい、大好き。そこまで言うなら頂きます」