*港side*
___ガチャン
時計の針が23時50分を指した。
陽を起こさぬよう静かに玄関の扉を開け、中に入る。
リビングの電気をつけてみると、ダイニングテーブルには美味しそうな夕食が綺麗に並べられている。
『おつかれさま!』
側にはそう書かれた小さなメモも添えられていた。
洗面所で手を洗い、丁寧に被せられているラップを外す。
「いただきます」
当然冷えきっているが、それはそれで美味しい。
陽の作る料理は冷めても美味い。
『夜遅いなら食べてきてもいいよ?』
陽は必ずそう言うが、できることなら陽の手料理を食べたい。