おはようからおやすみまで蕩けさせて

「後で教えますね」と立ち上がり、「次の商談の準備をしてきます」と逃げて行く。



「はぁ〜〜」


背中を目で追いかけながら大きく溜息を吐いた。

どうしてこんなことになるんだろう。
後輩にまで気を遣わせて、何処までデキない上司を続けるの?

仕事でも家庭でもデキない自分に疲れて、溺愛してくれる旦那さんにも草臥れて一人にさせて欲しい…と頼んだなんて言えない。


(ホントに私のやってることは情けないことばっかだな……)


オフィスでも家でもダメなことばかり。
これじゃホントにいけないのに。


「はぁぁ〜〜……」


ヤル気スイッチ何処に行ったんだろう。
こんな調子でいたらそのうち大きなミスをやらかしそう……。



「ダメダメ!気合入れ直さないと!」


これ以上津田ちゃんに甘えてちゃいけない。
自分の方が先輩でリーダーなんだからしっかりしないと。


パンパンと両手で頬を叩いた。
天宮さんに甘やかされてばかりだったから、つい頼りグセが付いてるんだ。

とにかく彼がいない間に何としても前の自分を取り戻す。
自分のペースで暮らせてたらきっとそのうち疲れなくなるって。


(うん…!)


そう、多分きっと…ね。
そう思ったら少しは頑張ろうって気持ちが復活した。

私らしくていい、と言った天宮さんの言葉が思い出されて、それに一番背中を押されたーーー。