おはようからおやすみまで蕩けさせて

だけど、それは家に帰れば聞いて貰えるんだろうと考えてましたし、あのステキな旦那さんがいるんだから悩みとかも相談に乗って貰って癒されるだろうと信じてました。
でも、天宮リーダーは日増しに元気が無くなるし、商談でも意見が言えなかったことなんてないのに口籠る。あれじゃメーカーさんも困りますよ。きちんと言いたいことを教えないと」


津田ちゃんはそう言うと私の方を向いて答えを待つ。
心配そうに見守られてしまい、不覚にも泣きそうになった。



「………そうね。分かってるんだけど…」


分かるんだけど思考が何故か停止する。
プレッシャーのせいなのか。
それともストレス…?


「旦那さんと上手くいってないんですか?」


ギクリとする質問に背中が伸びた。
窺うように下から目線を向けられ、思わずたじろいでしまった。



「まさか…」


正反対の言葉を発した。
上手くいってないんじゃない。


「ですよねー」


私が彼を拒んでるだけだ。



「うん…」


私の声に津田ちゃんはホッとしたように笑い、それに笑みを向けずに俯いた。


「やっぱり単純にお疲れなだけですよね。そう言えば入籍だけで新婚旅行もまだでしたよね。近場の温泉でも教えましょうか?私、いい場所知ってるんです」


津田ちゃんはそう言うとゴクゴクと一気にコーヒーを飲み込んだ。