「あ、あのね」


見惚れてる場合じゃなかった。
昨日のことを謝らないと。


「昨夜は…」


「ごめん」


「は?」


「俺、結実のこと色々と考えてなかったんだろうな。昨夜一晩悩んだけど、話したくない程疲れるのは俺の所為かなって気づいた」


目の前にいる人は弱った様な顔つきで耳の後ろを掻いた。
私は彼の言葉に目が点になって、どうしていきなりそんな考えになるの?という感じで見つめた。


「結実の疲れが癒せるなら何でもしようかと思ってたんだけど、俺と居るとまた疲れても困るから…」


「あ…天宮さん…?」


まさか離婚しようとか言わないよね。
私達、そこまでまだ話し込んでもないでしょ。


「結実の気が済むまで、俺は山本の部屋にでも住むよ。あいつにはこれまでの仮もあるから大丈夫。暫く置いてくれと言ったらダメとは言わないだろうから」


少し迷惑掛けるけど一人でも平気だよな?…と聞かれ、そりゃ大丈夫だとは思うけど……。


(まだそんなこと頼んでもないのに)


神妙な顔つきでいる天宮さんを見据える。
私のことを彼が真剣に考えてくれたのは嬉しいし有難い。
だけど、そこまでのことをする迄に、もっと私と話して気持ちを聞いてからにして欲しいのにーー。


(もうっ、何処まで勝手なの!?)



「……好きにすれば?」