そう思うと何だかやさぐれてくる。
何を信じたらいいのか少し迷いも出てきだした。



「いただきます」


冷蔵庫にあった春キャベツのサラダも添えて手を合わせた。
いつも二人で囲むテーブルに一人で着くと、斜向かいに座る筈の人がいないというだけで何だかおかしな感じがする。
一緒に暮らしだしてまだ一ヶ月も経たないのに、早くも二人で居ることが当たり前になってる。


「きっといつもベタつかれてたからよね」


新婚…というのを考えなくても、天宮さんは常に側にいた。
お風呂でもベッドでも、部屋の中にいる時は常に肩が触れ合える位置に居た。

今思えばそれも疲れる原因だったのかもしれない。
適度な触れ合いくらいならともかく、ベタッとされるのには慣れてなかったから。


「贅沢な悩み」


きっと彼にならベタつかれてもいいと思う女子はオフィスには幾らでもいる。
私以外の人と結婚してたら、彼も二週間かそこらで友人の部屋に行かなくても良かった筈だ。


なのに、私みたいな女を妻にしたが為に、わざわざ距離を置くようなことになった。
望んでいたものとは違うけど、そんなふうに気遣わせた。


(オフィスへ行ったら謝っておくべき?…昨夜はごめんねって言う?)


頭ではそれが当然だと思う。
だけど、心がどこか拒否してる。