リーダーになってからの毎日、確かに彼女は疲れた様子で家に帰ってきた。

そんな結実を癒すつもりで抱き締め、ホッとさせるつもりでキスを落としてたんだが。


日を増すごとに結実の元気はなくなり、「疲れてる」とか「一人にして」とか口にするようになった。

そして今日に至ってはとうとう、「話したくない」とまで言われる始末でーー。



「なぁ…」


急に不安になって山本に声をかけた。
「何だ」と振り返った奴を見つめ、真剣な思いで尋ねた。


「もしも結実が俺のことをウザいとか重いとか思ってるんだとしたら、これからはどんな態度を取ればいいんだ?」


女とのイザコザが絶えない山本なら何かいい考えがあるだろうと期待した。
驚いたように口を開けた奴が、吹き出すように笑いだした。


「何だ?ガキの相談か?」


高校生かよ…と呆れて笑う。
確かにアラフォーの男がする相談でもないが。


「そんなの俺に聞いてどうするよ。どうしたらいいか本人に聞けばいいだろ」


「結実に?」


「お前達夫婦なんだし一緒に住んでるんだから簡単じゃねーか」


相手のご機嫌伺いも兼ねて少し甘えてみれば?と言いだす。


「甘える?」


「そう。意外に女って甘えて欲しいみたいだぞ。好きな男に頼られるのが心地いいらしい」


「結実はそんなタイプの女かな」