営業部での騒ぎを聞いたらしい。
私はその原因の全てが、自分の能力不足にあるとは言えなかった。



「ううん……何もないよ……」


泣きたかったけど、天宮さんの顔を見たら泣けなくなった。

彼は私の人間性や心の狭さを、きっと全部見通してた筈だ。

それで上手くリーダーをやれない時の保険として、山本さんを店舗運営部から呼んだ。

私には「やれるよ」と言っておきながら、一番信頼されてなかった……。



(それなら自分がリーダーを降りなくても良かったじゃない。何処でも私を楽な部署に異動させてしまって、リーダーを続けていれば良かったのに……)



そしたら嫌な思いもせずに済んだ。
仲間とも言い合いなんかせずに、楽しくオフィスで働けた。

私にはリーダーなんか向かないんだと痛感する前に退職をして良かった。
本当に望む生活を叶えて、幸せになる予定だったのに……。



(私の夢を壊して…)



天宮さんの言葉が信じられなくなってきた。

だけど、それを口には出せず、胸の奥にしまい込んだーーー。