「あんたがデキる奴かどうかをこの一週間見てたけど、やっぱデキない上司だよな」


フッ…と鼻で笑われ、バカにした様な目付きで見られる。
胸に突き刺さった言葉に反論も出来ず、呆然と彼を見返した。


どうして彼にここまで言われなきゃならないんだ。
年上だからって、何でもかんでも言いたい放題言われっ放しでもいいの?




「ちょっと!山本さん!」


商談ブースから戻ってきた津田ちゃんが騒ぎを聞いて駆けつけて来た。


「天宮先輩をイジメないで下さい!」


クルクルと巻いたブラウンヘアーが視界を遮る。その彼女の頭越しにいる彼が煩そうな目を向けてる。



「……津田ちゃん、いいから…」


私は目眩を感じながらも、小さく声を振り絞って出した。
情けなくなる気持ちを押し殺して、何とか山本さんの側にいる社員を見つめた。



「……商談は任せますから、悩みがあったら言ってきて下さい……」



そう言ったら何だか涙が零れ落ちそうになって、ここでは泣いてはいけないんだと気を張って部署を出た。





「結実!」


重い石が背中にのし掛かってるのを感じながら廊下を歩いてれば、人事部から天宮さんが走ってこっちにやって来る。
その姿を目に留めると、ゆらりと視界が揺らめいた。



「何かアクシデントでも起こったのか?」