プライベートでも仕事でもデキる人を夫に持つと自分の無能さが際立って見える。
異動の前からこの調子なのに、彼が居なくなればあの部署でどうすればいいのかーー。
「…あ、そうだ」
折り込みチラシを眺めてた目線が上がり、向きを変えてこっちを見た。クセのある前髪が眉毛の辺りで揺れ、口角が少し上がった。
「俺が抜ける分、キッチン部門に同期の奴が来ることになったから」
「…同期?」
モゴッとベーコンエッグを噛み砕いて聞いた。
「うん。山本って奴」
「山本さん?どこの部の人?」
「店舗運営部」
店舗運営部とは、営業が仕入れた商品を店舗に卸したり、適切な店舗経営が出来てるかを管理する部門のことだ。
「山本はそこが長かったからうちのチームで扱う商品のこともよく知ってる。計算も早いし役に立つと思うよ」
「その人、私よりも年上なんでしょ?だったらリーダーをして貰えばいいのに」
彼と同期なら三歳は確実に上だ。
自分よりも年上の人の上に立つなんて、仕事がやり辛くて仕方ない。
この期に及んでも私はまだ往生際が悪くて、自分よりも有能な人がいたら、直ぐさま役職を替わってくれないだろうかと考えてしまう。
「山本はバイヤーのノウハウが薄いから駄目だよ」
あっさり彼に拒否されてしまった。
ショボン…と肩を落とす私とは違い、天宮さんは何処までも明るい。
異動の前からこの調子なのに、彼が居なくなればあの部署でどうすればいいのかーー。
「…あ、そうだ」
折り込みチラシを眺めてた目線が上がり、向きを変えてこっちを見た。クセのある前髪が眉毛の辺りで揺れ、口角が少し上がった。
「俺が抜ける分、キッチン部門に同期の奴が来ることになったから」
「…同期?」
モゴッとベーコンエッグを噛み砕いて聞いた。
「うん。山本って奴」
「山本さん?どこの部の人?」
「店舗運営部」
店舗運営部とは、営業が仕入れた商品を店舗に卸したり、適切な店舗経営が出来てるかを管理する部門のことだ。
「山本はそこが長かったからうちのチームで扱う商品のこともよく知ってる。計算も早いし役に立つと思うよ」
「その人、私よりも年上なんでしょ?だったらリーダーをして貰えばいいのに」
彼と同期なら三歳は確実に上だ。
自分よりも年上の人の上に立つなんて、仕事がやり辛くて仕方ない。
この期に及んでも私はまだ往生際が悪くて、自分よりも有能な人がいたら、直ぐさま役職を替わってくれないだろうかと考えてしまう。
「山本はバイヤーのノウハウが薄いから駄目だよ」
あっさり彼に拒否されてしまった。
ショボン…と肩を落とす私とは違い、天宮さんは何処までも明るい。

