お互いの両親を急遽呼び寄せて会わせた。

急だからとても驚かれたけど、相手が天宮さんだと知ると「安心して任せられる」と許された。

天宮さんのご両親からも「せっかちな息子だけど宜しくね」と言われ、式は取り敢えず落ち着いてからにしようと話し合い、住む場所は天宮さんのマンションにすれば?と決められた。


おかげでこの一週間はずっと引越しの準備に追われ続け、土曜日に引越しを済ませた後は、荷解きや片付けに追われる週末を送った。


日曜日はクタクタだったけど、初めての晩餐に手料理を振舞いたくて頑張った。
天宮さんはその料理を存分に褒め、プロポーズの夜と同じくらい愛してくれた。


その所為で月曜日の今日は朝から寝不足ぎみ。
だけど、そんな姿を見せることも出来ないくらい私は緊張し続けている。


彼と結婚したことが社内報で伝わり、女子からの注目も男性からの視線も感じる。
「あれが天宮さんの奥さんなの?」と囁く声も聞かれ、ドキン!と心臓が飛び跳ねる。


自意識過剰になるな…と思ってもムリ。
緊張は今まで以上に増した。



(こんな状態で仕事を続けるなんて絶対ムリ!天宮さんに言って専業主婦になろう!)


そんな目論見を立てていた。
今直ぐでなくてもいいから予定しておいて…と、願うつもりでいたんだ。




「天宮先輩ー、商談先が来ましたよー」