「いらっしゃいませ」
ドアを再び開けると、彼と目元がよく似た人が「こんにちは」と言いながら入ってくる。
お客様用の緑色のスリッパを床に置けば、「ありがとう」と優しい声色で囁かれた。
浬さんの母親は穏やかな人柄で優しい。
この親にしてあの人在りみたいな雰囲気の人。
「突然お邪魔してごめんなさいね。浬が貴女を心配して、気分転換に連れて出てやって欲しいと言うから来たの」
「浬さんが?」
「そうなのよ。自分は平日は無理だからって。着替えていらっしゃいな。ランチにでも行きましょう」
ふわっと花のように笑いかけるお義母さんの顔を見遣った。
もしかして、昨日の朝の電話の相手はお義母さん?
「は…はい」
寝室のクローゼットに向かいながら自分の心の狭さを痛感する。
津田ちゃんから浮気の話を聞いたからって、何かあるのかも…と勘繰り過ぎてしまった。
(今夜、彼に謝らないと)
心に決めて服を選んだ。
なるべくウエストを締め付けないようにワンピースを選択してお義母さんと外へ出た。
タクシーの中でお義母さんは、豆腐懐石の店を予約してる…と話し、落ち着いた和風建築の店でご馳走になった。
湯葉とか湯豆腐とかいろんな豆腐料理が出たけど、最後に出てきたデザートのレモンシャーベットが一番美味しくて、朝から少しムカムカしてた気分が蕩けていくようだった。
ドアを再び開けると、彼と目元がよく似た人が「こんにちは」と言いながら入ってくる。
お客様用の緑色のスリッパを床に置けば、「ありがとう」と優しい声色で囁かれた。
浬さんの母親は穏やかな人柄で優しい。
この親にしてあの人在りみたいな雰囲気の人。
「突然お邪魔してごめんなさいね。浬が貴女を心配して、気分転換に連れて出てやって欲しいと言うから来たの」
「浬さんが?」
「そうなのよ。自分は平日は無理だからって。着替えていらっしゃいな。ランチにでも行きましょう」
ふわっと花のように笑いかけるお義母さんの顔を見遣った。
もしかして、昨日の朝の電話の相手はお義母さん?
「は…はい」
寝室のクローゼットに向かいながら自分の心の狭さを痛感する。
津田ちゃんから浮気の話を聞いたからって、何かあるのかも…と勘繰り過ぎてしまった。
(今夜、彼に謝らないと)
心に決めて服を選んだ。
なるべくウエストを締め付けないようにワンピースを選択してお義母さんと外へ出た。
タクシーの中でお義母さんは、豆腐懐石の店を予約してる…と話し、落ち着いた和風建築の店でご馳走になった。
湯葉とか湯豆腐とかいろんな豆腐料理が出たけど、最後に出てきたデザートのレモンシャーベットが一番美味しくて、朝から少しムカムカしてた気分が蕩けていくようだった。

