今夜もかなり荒れてる様子だったらしく、愚痴を聞かされながら飲んだ所為で、つい飲み過ぎてしまったそうだ。


昼間に掛かった愛美の電話を思い出した。
彼女の話を聞いた時、私はまだ病院へも行ってないけど怖いと思った。


「結実は俺が同じように不妊症でもいいか?それともやっぱり、子供のできる男の方がいい?」


切ない思いをぶつけてくる彼に何と答えれば正解なのか知れない。
直ぐには答えられないし、同じ不安を自分も抱え込んでる。



「……それと同じこと…聞き返してもいい?浬さんは私が子供のでき難い体質でも愛してくれる?」


不安そうに尋ねたら、「どうした?」と問われる。
彼の視線から目を逸らせ、同じように不妊症で治療していた愛美が流産したんだ…と伝えた。


「ついこの間妊娠できたと喜んでたのによ?ずっとずっと頑張ってたのに、あんまり酷い話だと思わない?!」


不妊治療には急な呼び出しもあるんだと聞かされてる。
オフィスの人達の中には、そんな愛美のことを役立たずだと陰口を叩く人だっていると聞いた。


「愛美は私に聞いたの。子供も産めないのにどうして女に生まれてきたんだろう…って。…私、彼女に何も言えなくて、自分を責めないで…としか話せなかった……。
だけど、それを聞いたら怖くなって、私も愛美のように出来ても流れることだってあるし、もしかすれば、全然出来ないままかもしれないって……」