「そう、あの…ちょっと掃除をし過ぎて疲れて…居眠りしてたら眠り過ぎて…その…ね」


シドロモドロで言い訳すると、目線を真っ直ぐこっちに向けたままで「ふぅん」と唸る。



「おいで」


膝を組んだ彼が手招いてる。右腕はソファの背もたれに伸ばし、左腕を上げて手首から先をユラユラと上下させる。


その彼を見たまま少し躊躇する。
近寄りたいけど近寄りがたい。
何かを問われそうで少しヤダ。


「結実、早く」


焦ったそうに促す彼に仕様がなく近付く。
腕が届く範囲まで近寄ると、右手を握って引っ張られた。


「っひゃ…!」


酔ってる割に力強い。
あっという間に腕の中にすっぽり包まれ、子供を可愛がるように擦り寄られた。


「可愛い結実…」


あーあ、もう。これは完全に酔ってるな。


「今夜どれ位飲んだの?」


「んー、わからん…」


祝杯だから…と言われ、部署の全員から注がれたビールとお酒をちゃんぽんで飲んだと話す。


「榊原さんに止められなかった?」


「あの人が張本人だから止める訳ない」


そういう遊びが好きそうには見える。
去年の人事もかなり無茶ぶりだったし。


「浬さん、お風呂は?」


すぐに入れるようにはしてないから、どっちにしても待たせる結果になるんだけど。


「今はいい。少しこうしていよう…」