おはようからおやすみまで蕩けさせて

酔ってるような顔つきで佇む彼に薄笑いを浮かべる。
お帰りなさいも言わずにドアを開けると、フラつく足取りで中に入ってきた。


「大丈夫?相当飲んだの?」


ドサッと凭れるように抱き付かれ、その体を必死で支えるとーー。


「結実〜〜」


ぎゅうっと抱き締めてくるから苦しい。
離して、離して…ともがくと、今度はキスしてこようとする。


「ダメ……お酒臭い……」


ついでに言うならタバコを吸ってから間もないでしょう。
お酒とタバコの臭いって、混じるとちょっと気分が悪くなるんだから止めて。


「ツレないなぁ〜〜」


「もうっ、酔っ払いの浬さんは黙ってて」


肩を貸してリビングへ入ると、「あれ?」と彼が声を発した。


「何?あの洗濯物」


ソファの上に投げ置いた洗濯物を指差して聞く。
早くも出来損ないぶりがバレてしまい、取り繕うことも難しい。


「ちょっと…取り込むの忘れてて…」


えへへ…と笑って誤魔化した。


「ふぅん。そうか…」


ヨロヨロしながらソファへ近付いた彼が、その上を見てもうと一度「あれ?」と呟く。


「今日此処で寝た?」


ひざ掛け毛布が乱れたままだ。
ますますヤバいと感じて、「う、うん…」と視線を泳がせながら返事をした。


「何?初日から飛ばして疲れたか?」


毛布と洗濯物を端に避け、自分がソファに座るとそう聞いた。