おはようからおやすみまで蕩けさせて

一人っ子の寂しさは自分が一番よく知ってるから、出来ればもう一人産めればいいんだけど。


(妊娠できるかどうか産婦人科に行ってみる?)


気が早いか…と思い直して家事を続けた。
そんな私の元に掛かってきた電話が、不安を広げていく結果になった。



午後三時、大学時代の友人、佐川愛美(さがわ えみ)か電話をしてきた。
愛美は三年前に結婚して、働きながら不妊治療を続けている。


「今日ね、また病院へ行ったの」


愛美はそう言うと少し口籠った。
確か体外受精をして、暫く入院した後、退院してきたばかりだった筈だ。


「うん…どうだった?」


着床が認められて、心音はまだ聞けないけど赤ちゃんは出来たと聞いてる。
三年間の努力が実って良かったね…と言ってたばかりなのにーー。


「……ダメだったの。赤ちゃん…育ってないって……」


今朝がた出血して驚いて病院へ向かったそうだ。
直ぐに検査をしてもらい、流産していることが判明した。


「…私の体……子供の一人も育めないんだよ……」


何の為に女として生まれてきたんだろうと泣き出す愛美に掛ける言葉も見つからない。
何の為にかなんて、私自身にもわからない。


「愛美、元気出して。上手く言えないけど、自分を責め続けないで」


明日は我が身みたいな気持ちで願った。