声を上げて泣きそうになって、慌てて鼻と唇を手で覆う。
それを見てた彼が近寄り、そ…と手を開いて離させた。


「ヤダ…ブサイクだから見ないで…」


俯くと顎の下に指を当てて上を向かせる。
きっと鼻も目も真っ赤なのに恥ずかしい。
鼻水なんかも溢れてるかもしれないのに。


「綺麗にメイクされた顔も涙でグシャグシャの顔も好きだよ。どんな結実も、ずっと愛していくから」


半年後に式を挙げようと先週両親達との話し合いで決めた。

神様にはまだ誓えないから、この古木の前で誓うよ…と続ける。



「結実も誓って」


グスグスと泣くばかりの私にも何か言ってと囁く。
雨宮さんのように気の利いた言葉なんて用意もしてない。


「私……」


どうしよう。
なんて言えばいいの。



「…お、おはようからおやすみまで……ずっと、浬さんと…一緒に居ます。だから…ずっと、貴方の愛で蕩けさせて……」



誓いじゃなくて願いになってしまう。
だけど、天宮さんの顔は綻んで……


「いつまでも俺の愛で包むよ。絶対に結実を離さない」


おはようのキスから始まっておやすみの挨拶まで共に。
この誓いを忘れずに、一生彼を信じる。


「私…さっきの夫婦みたいになりたい」


「うん。それを目指そう」


入籍しても恋人同士でいる。
朝から夜まで、ずっと蕩け合う人生を送りたい。


気持ちを擦り合わせるように深いキスを交わした。
二人きりの結婚式には、桜の花弁だけが参加した………。



完結