「……私よりもいい主夫にならないで」


ボヤくと笑いながら「ごめん」と謝る。

まるで、デキる主夫とデキない主婦の完成図ーー。


「ほら、早く食べよう」


オムレツの形もいいこと。これを追い抜かすのは至難の技かもしれない。



「いただきます」


手を合わせてコーヒーを飲んだ。
彼と同じく、甘くて美味しい。


「コーヒーくらい上手に淹れられるようになりたいな」


ゴクンと飲み込んで呟けば、「教えようか?」と言われーー


「是非!お願いします!」


仕事と同じように一から教わるのも悪くない。
一年間掛けて、じっくり彼から学ぼう。


「家事が出来るようになっても俺のことは斬らないでくれよ」


「失礼な。大事な旦那さんは斬りませんよ」


笑い声を上げながらの朝食タイムなんて、一緒に暮らしだして初めてかも。



「あのね、浬さん」


オムレツを口に入れようとしてる彼に声をかけた。


「ん?」


イケメン面がこっちを向く。


「明日も朝から夜まで蕩けさせてね」


おはようからおやすみまで、貴方の愛で満たされたい。

この蜜月期間をこれからも大事にしていくんだ。



クスリ…と笑いながら「勿論」と返事をする彼を愛してる。

やっと自分の気持ちにも自信が持てて、幸せを実感できるようになった。