マズい事を聞かれた様な表情を見せた彼は、あっさりと参加を認めた。


「大丈夫。行ったけど直ぐに帰った」


疑り深そうに見てる私に「本当だよ」と言い足す。


「最初から数合わせの為だったから、居たのも三十分位だっだ」


「…その後は?」


「雅也の部屋に真っ直ぐ帰った。俺が居るから女子を持ち帰れなかった…と散々嫌味を言われたよ」


呆れつつ脱いだコートを受け取る。
それを小脇に抱えながら後ろを付いて歩き、リビングへと入った。



「…あれ、この匂い、炊き込み御飯?」


お醤油とゴボウの香りが漂ってる。
クンクンと息を吸い込む彼にふっ…と笑って頷いた。


「初日のやり直ししようかと思ったの。このところ毎日、天宮さんの手料理ばかりだったし」


コートをソファの上に置いてキッチンへ向かう。
炊き込み御飯の他には、酢物とかき揚げとお味噌汁も作った。


「ごめんね。全く同じ物で」


後を付いて来た人に謝り、炊飯器のフタを開けると。


「旨そうな匂いだ。俺、毎晩これでいいかも」


匂いを嗅ぎながら話す彼に笑い、もっと他の物も作らせて欲しい…と願った。



「天宮さん、あのね…」


ご飯を盛り付けながら、待ってる間に考えてたことを話そうかと思った。でも、その前に彼が「ごめん」と謝りだして、「何が?」と聞き返した。