「さっき昼休みが終わった時にさ、ブースに入ろうとしたらお前の嫁さんとぶつかりそうになったんだ。何事かあったみたいで、かなり慌ててるようだったぞ」


「結実が?…一体何があったんだ?」


「さぁな、津田の話じゃメーカーに商品を見せて貰いに行くと言って出たそうだが」


「メーカーに直接か?アポ取りしてこっちへ来て貰えばいいことだろう」


「そんなの俺が知るかよ。ただ津田が言うには顔色が良くなかったって。だから、具合でも悪いのかと思ったそうだ」


「えっ!?」


疲れてるから一人にして欲しいと言ったのにか!?
一人になってもまだ疲れてる!?



「……気になる?」


ニヤついた顔で問う。


「そりゃそうだろ。妻なんだから」


「だったら帰ってやれよ。こっちは合コンへ出ても持ち帰りも出来ずに残念だったぞ」


宣言通りに乾杯して三十分程度で部長に呼び出されたことにして逃げた。

俺が抜けた後、下がりまくった女子のテンションを山本が一人でが何とかしたらしい。


「あーあ、俺としては隣の席の子がタイプだったんだけどなぁ…」


「分かった。近いうちに帰るよ」


取り敢えずは結実と話してからだ。

それにしても今は、仕事のことが気に掛かる。


メーカーに直接出向くなんておかしい。
自分の経験上からして、それは何らかのトラブルが起きた時だ。