おはようからおやすみまで蕩けさせて

「おい、お前、今日嫁に会ったか?」


新人研修の合間に一服してると、山本雅也がそう言いながら入ってきた。


「いいや、今日は朝から顔も見てない」


着替えを取りに家に寄ったが、結実は既に出掛けてしまった後だった。
ソファの上に折り畳んだ布団が置かれてあって、まさかここで寝てるのか?と疑いながら家を出た。


昨日の合コンに参加したのは人数合わせの為だと説明しておきたくて始業前に営業のブースを覗いたけど、丁度背中を向けてミーティングの真っ最中で声をかけることも出来なかった。

後にしようと思い目線を伏せたら足が見え、まさか…と思ってよく見直したら、オフィスでは滅多と穿いたこともないスカートを穿いてたから驚いた。



(俺が居ないのをいいことにスカートを穿くなんて……)


あり得ない、とムカつくと同時に、合コンに参加した当て付けかとも思った。

俺が家に居たなら絶対に穿かせたりしない。誰が好き好んで妻の足を他人の男に見せたりするか。

愛でるのは俺だけでいいんだ。

あの足を目に入れていいのも俺だけの筈だーーー。




「…なぁ、おい、聞いてる?」


トン…とニノ腕を突かれて山本に目を向ける。
昨夜こいつは相当飲んで帰って来たにも関わらず、二日酔いも全くしてない。