それなのに1000個も送られてきたぞ…とおかんむりだ。

当然だ。商品コードも付いてないから売ることも出来ないし、サンプルは多く仕入れるだけ損になる。


(ど、どうしよう。ミスをしたのは私だ……)


「…申し訳ございません。責任はこちらで取らせて頂きます…」


こちらと言うか責任は全部自分にある。
あのサンプルは『数が間違ってる』と天宮さんが付箋を付けていた物だ。

それなのにカッときて付箋を外し揉みくちゃにして捨てた。きちんと冷静に確認していれば防げるミスだった。


「こっちでもなるべく処分出来るように手は尽くすけど、メーカーに幾らか引き取ってくれるよう手配してくれ」


「は、はい。分かりました」


指先を震わせながら受話器を置く。

午後からも商談が待ってるけど、メーカーさんへ直接謝りに行って引き取って貰わないと……。


「リーダー?どうしたんですか?」


メイク直しから戻った津田ちゃんが棒立ちしてる私の側へ来る。


「津田ちゃん…」


丁度良かった。彼女に商談を替わって貰おう。


ホッとして振り向く私の顔を見て、彼女の目が真ん丸くなった。


「どうしたんですか!?顔色真っ青ですよ!?」


叫ぶように言うもんだから同じ島の社員達が振り返る。


「大丈夫、何でもないの。それよりも私、急な仕事で出ないといけなくなったから午後の商談お願いね……」