デキない人間はデキないらしく、後輩や部下に協力して貰えばいいーー



「あ…そうか」


「えっ、何がですか?」


視線を向ける津田ちゃんにううん…と首を横に振る。
頭の中には天宮さんの言ってた言葉の意味が浮かんでた。


「結実は結実らしく仕事をやってればいいよ」


あれは「仕事人」としてビシビシと商品を斬ればいいってことじゃなかった。

デキないと思うことや自信のないことは、チームの皆に協力して貰えばいいって意味だったーー。


(それなのに私、デキないのに彼と同じように仕事をこなそうとしてた…)


彼とは能力も違うのに、そんな事をしようとするから疲れたんだ。

天宮さんは私の能力を知ってて、役に立つだろうと考え、チャラ男の山本さんを異動させてきた。

「こき使ってもいい」という意味で「役に立つだろうと思う」と言った。

見方を変えればつまりはそういうことだ。




(私のことやっぱりよく見てる……)


ぎゅっと掌を握りしめた。
直ぐにでも席を立って彼に会いに行きたいけど……


「リーダー、ミーティングしましょう」


「うん。皆集まって」


相変わらず始業ぎりで来る社員以外を集めて話を聞く。
私のヤル気スイッチがやっと入り直したのに、午後一番でハプニングは起こった。


人間関係の…じゃない。
確実に私のミスだーー。