スースーする足元に気づき、今朝はスカートだったと思い出した。


「あはは」


呆れたように笑って小股に変えた。
少しだけ気分が晴れた様な気がして、踏み出す足も軽くなったーーー。


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オフィスに着くと、天宮さんは人事部にも営業ブースにも居なかった。
念の為に…と思い、喫煙コーナーへも行ったけど清掃中で誰もいない。



「まだ来てないのか…」


ガッカリと肩を落として営業部へ戻った。
自分の席に着けば、昨日津田ちゃんから借りた旅行のガイドブックが置いてある。


こんな物を見て残業してたと思われたらマズい。とにかく引き出しにでも片付けておこう。


彼と温泉へ行く行かないは話してからだ。
一緒に行けるほど心が寄り添えればいいんだけど……。



パソコンの電源を入れて昨夜入力した内容を再度チェックし直す。
間違ってないよね…と資料と数字を確かめてから蓋を閉めた。



「おはようございまーす!」


ブラウンヘアの津田ちゃんが今日も女子らしい格好で出勤してきた。目の覚めるような赤いカーディガンが彼女にはよく似合ってる。



「おはよう」


上座のデスクから声を返せば、驚いた様な顔つきで近寄ってきた。


「リーダー、今日は何だか女子ですね」


足元がスカートだから珍しかったみたい。


「そうでもないよ」