慌て駆け寄ると、お兄ちゃんはゆっくり目を開けた。
「ケガ、ないか?」
「うん、お兄ちゃんのおかげでなんともないよ」 
「そうか…よかった。……ッゲホッ、ガバッ!」

お兄ちゃんは苦しそうに咳き込むと、口を開いた。

「………。」
「え?何?」

聞き返しても、返ってくるのは弱々しい呼吸の音だけ。

嫌だよ…目、開けてよ。ねぇ!

「もう一回言ってくれなきゃ、わかんないよぉ!」

お兄ちゃん……。



遠くで…救急車のサイレンが聞こえた。