今のは、いい話・・・。

表情が暗くなった私に、問題集を眺めるのをやめて、どうした?と首を傾げて、さえは体をこちらに向けた。

盛大なため息を吐いて、私はあの女の話をした。

「あちゃ~、やっぱり現れたか。そういう存在・・・」

「そう。もう神山さんに近づくためなら、私を払いのけてでも仕事を奪っていくの」

「払いのけてって、あんた、まだ1日目じゃん」

「いや、あれは払いのけたね!3番スクリーンに行って掃除して来いって言ったくせに、神山さんがいたから、すぐに8番に行けって」

ちょっと、バイト歴が長いからって、先輩風ふかして、嫌な女ー!!

机をドンドン、と叩きながら、キーッと歯を食いしばる。