「いいから言ってごらん。」
速水さんはポンと私の頭を撫でた。
まるで、何でも受け止めるからって言ってくれてるみたいに。
こういうとこすっごい好きなんだよなぁ。
絶対、ぜったい言えないけど。
とんと私は寄り掛かって体重を預ける。
「なんかもう顔見たら、正直満足しちゃって。」
「え?」
「嫌われちゃったかなとかいろいろ不安に思ってたけど、
速水さんの顔見たらさ。
安心しちゃうんだ、わたし。
だから、もういいかなーって思ったりして。」
ぽかーんと拍子抜けてる表情の頬に、私は手を伸ばした。
「ごめんね。
気づかない内に速水さんが嫌がる行動、私とってたくせにそんなんで。」
そうしてきゅっと横から抱きしめる。
何がだよとすぐに彼は照れくさそうにつぶやいた。
「頼ってくれてるんだろうなって分かってるから。
市田が俺のこと思ってくれてるのも。
だから、全然。」
「うん。」
また私はぎゅっと腕に力をこめる。
「不安にさせちゃって悪かったね。
かっこ悪いけど、余裕いつもあるわけじゃないから……。」
苦く笑ってみせる彼に、かっこ悪いなんて一回も思ったことないんだけどなぁって私はひそかに思う。
「まぁ……。
俺が変な態度だったのは、」
「うん?」
「んー、どうしよっかな。
……いやこれ、絶対言うつもりなかったんだけど。」
彼は左手でガシガシと後ろ髪をかく。

