それにしたって、なーんか心配して損しちゃったなぁ。
デート始まる前は、映画見ている間大丈夫かなとか見た後何するんだろうとか不安でいっぱいだったけど。

今は楽しいに尽きるし、
まだまだ一緒にいれたらなぁ…って思ってるし。

ちらっと彼の横顔を盗み見る。


もっともっと速水さんのこと、知りたいな。
いっぱいいっぱい今日みたいにおしゃべりして、一緒に過ごして。

それに、手だけじゃなくて―――もっともっと触れたい、かも。

例えばぎゅーってして、
好きだよって言葉を彼の口からきいて。


「市田?何かいいものでもあったの?
俺の顔じーっと見てきて。」

「あっ!いえいえいえいえ!」
 やばいやばい!
ほしいモノどころか、もっと不埒な理由で速水さんの顔を見てたなんて言えない。


「何でも言えよ。」
 優しく笑って、彼はシンプルなマグカップを手に取ってみせた。
こくんと頷いて、私は別の商品を手に取る。


速水さんも何か欲しいものがあったら言ってくれないかなぁ。さっきからそうやって手に取ってみるだけで、特にほしそうにしないし。


普段お世話になってるんだから、お返ししたいんだけど。
まぁそう伝えたって、あの速水さんが簡単にプレゼントさせてくれるわけないか……。

私はコトンと手に取ったコップを棚に戻した。