「この後どうする？
今、14時だけどお腹減った？」
「うーん、速水さんはどうですか？」
ポップコーンだけでお腹がおきるわけないと思うけれど、グーグーお腹が鳴っちゃうぐらい空いてる感じもしていない。
そういえば、どっかで聞いたことがある。
好きな人の前じゃ食欲がなくなっちゃうって。
「俺もあんまりだけど、どっかでコーヒーとりあえず飲もっか。
ちょっと座りたいよね？」
きょろきょろと彼はあたりを見渡す。
速水さんもあんまりだってと少しだけ嬉しくなりつつ、私達はフードチェーンが多い１階へと降りることにした。
「あ。」
と、あることを私は思い出す。
「どうかした？」
「タバコ大丈夫ですか？」
今日、1回も休憩取ってないですけど…
「なんだ、そんなこと？
ありがと。でも、仕事中も我慢してるしそんぐらい大丈夫だから。」
変なとこ気遣いしいだからな～と、私に言いながら速水さんは歩くのを止めない。
けどやっぱり―――
「わ、私トイレ行きたいので、速水さんもどうぞ！」
これからずっと付き合っていくわけだから、こういうことも自然体でやっていけたらなって思う。
好きな人のことなんだもん。煙草の一つぐらいなんだかもだけど、そういう小さいところも私は気遣いたい。
はやく何でも言いあえる仲になりたい。
「市田、嘘つくのへたくそ。」
「嘘じゃないです。」
トイレ行っときたいなって少しは思ってたもん。
そりゃまだ我慢できるけど。
「はいはい。
お言葉に甘えるね、じゃぁ。」
しょうがないやつだなと変な笑顔を浮かべつつも、何だかんだで嬉しそうに彼はしてくれた（気がする）。
