「今日、市田泊まってくんだろ?」


そのつもりだったけど、、

「どーしよっかなぁ。」
 今日の速水さんさん、いじめっ子だし。



「とか言って、うちにこの間ルンルンでお泊りセット置いていったのは誰だっけ?」


「うぅー……」
 わたししかいないですけどもぉ。

言葉が詰まる私を隣でなんとも可笑しそうに笑う。



「まぁ、来週と再来週は一緒に帰れないですもんね。」

「ん?あぁそっか。」


 来週はわたしが仕事に追われてて、
再来週は長嶋さんたちとの飲み会が控えているからだ。




「でも、速水さんも丁度いんじゃないですか?」
 
「なにが?」


「ひとり来るんですよね?
出張の方。」


「……一色のこと?」
 知ってんだ?

すこし空いた間に、こくんと頷く。


「誰から聞いたの?
長嶋?」


「ううん、内川くんから。」
 なんかちょっと、怪訝口調……?


「いけんかったですか?」
 私もしかして聞いちゃいけなかった?

まだ解禁されてなかった情報だったのかな?



「あ、いや。
それならいんだけど。

長嶋は余計なこといーそーだから。」


「あ、うん?」
 それだけじゃないような空気がほんのすこーし感じられるけど、


「内川なんか言ってた?」
 聞いてきたそれに、ちょっと緊張してたよと素直に続ける。


「内川くんか木野さんにつくんですよね?」


「そうそう。」


「そっか、その様子だと結構内川心配してたんだな。
でもたぶん木野につくはずだけど。」


「そうなんですか?」


「木野の方がやりやすそうだし。」


「そっか…」
 まぁ木野さん細かいところまで目が届くもんね。


 そこで信号に捕まると、既に半分も進んでいることに気づかされた。