流れる人波を眺めながら、ふと思う。
自分で働いて、生活して、悩んで、生きて。
繰り返しの毎日の中で新鮮さが消えて行く。

学生の頃のように毎日ばかやって、大笑いして―――――

好きな人だって、彼氏だって簡単に出来て。


今思えば『恋に恋して』たんだな。
でも、その頃にはトキメキだって胸の高鳴りだって毎日だってしてた。手を繋ぐだけで精一杯で顔が赤面するのも、心臓の激しいドキドキが相手に伝わるんじゃないかって余計に照れて。
それ以上の事をしたってあの頃のドキドキには叶わないなぁ。
歳をとったというか、、、、汚れた?
うーん、それだと語弊があるなぁ。
強いて言うなら、あの頃は輝いていたんだ。
日常その物が特別で、その特別が当たり前になって今の不変な日常なのだ。目がくすんでいるんだ。
でも、最近は思うようになったのはそれこそ、私も大人になってしまったか。遂に。

普通って凄く難しい。
子供の頃から普通に生活していたけど、それって凄く難しいことだなって。
当たり前に着るものがあって、おいしい母の手料理、暖かいお風呂にふかふかのお布団、、、、どこぞの子供向けの番組のエンディングではないが、その普通って意外と大変。
料理が出来ない訳ではない、むしろ得意だった。少し熱めの湯舟に浸かるのだって、お日さまの匂いのするふかふかの布団だって、一人でいるとどうも適当になってしまう。

そんな適当に慣れてしまってるからこその不安。
今後、素敵な相手が現れて結婚して――――――無理無理無理!ビジョンが見えない!

まあ、それは素敵な彼が現れてからの話なんだけど。
そもそも私は人を好きにならない。
てゆーか、好きって何?


「あ、いたいた。」