私は、小さい頃から親にギターを教えて貰っていた。

それに、父は有名なギタリストだった。

母は歌手でデビューした時から、一躍有名になった人だ。

そんな間に生まれた私は、父からギターを教わり、母からは、歌を教わった。

生まれながらの絶対音感を持っていた私は、2歳を過ぎた頃から、ギターと歌の練習を始めた。

小学生の時は友達と遊ぶより、ギターと歌の方が好きだった。

だから、友達が1人もできなかった。

でも、ハルだけは違うかった。

一緒に歌ったり、ピアノとギターでセッションしたりした。

私がひとりの世界に入った時でも、扉をこじ開けるように、隣に並んでいた。

ハルから私に近寄ってきた。

中学では、バスケ部に入って、即レギュラーを取って、そこでもまた孤立した。

もちろん、イジメも受けた。

バッシュを隠されたり、ロッカーの中に入れてた、ユニフォームが破れてたり…。

辛いのは、当たり前だけどそんな感情は忘れてるフリをしてた。

でも、ハルの前では素直な自分でしかいれなかった。

だから、もう辛い思いはしたくない。

ハルに本当の気持ちを言うと、「辞めればいいよ。」って言われた。

言われた通り、バスケは辞めて、音楽に人生をかけようと思った。


「当たり前じゃん。もちろん、ハルもだよね?」


「おう。てか、お前は俺が付いてないと、何するか分かんねーかんな。」


ハルは、いつも相手に失礼な事しか言わない、ひねくれ者だ。

素直に言えばいいのにと思う。

反対に私は、心から許せる人なら、簡単に素直になってしまう人。


「もっと、素直になったら?ハルが、素直じゃないのは、昔だからだけど、大人になった方がいいんじゃない?」


「うるせぇな。俺は、いつだって素直だよ!!」

ハルが怒る時は、大体言ってる事と真逆のことをしてる時。

長年、一緒に居ると相手の思ってることとかすぐに分かっちゃうことがある。

でも、ハルの気持ちを読めたことは、今まで1回もない。

その代わりに、ハルの言葉に含まれてる気持ちが分かるようになった。


「はいはい。ソウダヨネー。ハルは、いつだって素直だもんねー。」


棒読みで、笑いながらハルに言ってあげた。


「人のこと、バカにすんのもいい加減にしろ!!」