あの日。

─ガチャッ。

スタジオのドアを開ける。

中で、ハルがピアノを弾いていた。


「あ。」


私に気づいて、ピアノを弾いていた手を休めた。


「いつも言ってることまた忘れてる。勝手に家に上がるなっていつも言ってるよね?なんで、守れないの。」


朝のこともあるから、喧嘩腰の物言いになってしまう。


「いや…、お母さんが寄って行きなって言うから…。俺だって断ったよ。朝のことがあったから。でも…」


「わかった。じゃあ、帰って。今すぐ。二度と来ないで。」


「え、でもバンドの話とか…。」


「バンドのメンバーはもう集まってる。あと1人ベース入れるだけ。」


「あ、じゃあもうギターとドラム集まったんだ。」


「ハル、いま勘違いしてない?私は、4Pバンド組むことになったの、クラスのメンバーで。だから、ハルとバンド組まないよ。」


分かってる。

ハルがなんでって言うのなんか。

分かってる。

でも、こうするしかないの。

ハルとはもう関わりたくない。

この先は自分の力で進んでいきたい。

自分で挑戦してみたいの。


「そうか。分かった。お前ももう高校生だもんな。それぞれの道行くべきだよな。ゴメン。」


あっさり認めた。

そこに驚いた。

もう、私のことはどうでもいいんだ。

この時思った。


───ここから、私たちの関係が上手くいかなくなる。


ハルが部屋から出ていく。

私だけしか居ないこの部屋は穴が1つぽっかりと空いた気がした。

なんで、突き放したりしたんだろう。

その時に思った。

その時、涙が溢れるぐらい出た。

私、ハルのこと好きだ。

そう思った。