「やっと笑ったね。」

そう言われて初めて自分が笑っていることに気付いた。そして、
「だねっ!」

と言って、二人で帰る。空は、朝が曇りだったとは思えないほど、真っ赤で
きれいな夕日だった。だから私は、思わず見とれてしまって優華が、

「幸也は由梨のことが好きなんじゃないの?」
と言ったことが聞こえなかった。