すると由梨はやっと笑ったから、素直に
「やっと笑ったね。」

というと、由梨は、初めて気付いたとでもいうようにしていたけど、やがて
「だねっ!」

と言って、弾むような足取りで、帰り道を歩いていく。そんな由梨を見て私は不意に、
「幸也は由梨のことが好きなんじゃないの?」

と口にしていた。はっとして由梨のほうを見たけど、由梨は気付いてなかった。由梨とは反対の空を見ると、すごく暗かった。